日経平均の銘柄入れ替えを利用して利益を狙う具体的な投資法

日経平均の銘柄入れ替えを利用して利益を狙う具体的な投資法

日経平均株価指数(以下、日経平均)は、日本の投資家にとって最もメジャーな指数です。

この日経平均は東証一部に上場している225社の株価を基にして構成されていますが、この構成銘柄は一年に一度、銘柄の入れ替えが行われます。ただの銘柄入れ替えと思われるかもしれませんが、実は、この銘柄入れ替えの時は、その銘柄を大量に買わざるを得ない人たちがいます。

株式市場には、このように「買わなければならない事態」が起こるケースがあります。このケースを予め知っておくと、株式投資が優位に行えるようになります。今回の記事では日経平均の銘柄入れ替えについて具体的にお伝えいたします。

執筆者

目次

  • 1. 日経平均株価指数の銘柄入れ替えとは
    • 1.1. 多くの投資家が注目する日経平均株価指数の定期見直し
    • 1.2. 機関投資家と定期見直し
    • 1.3. インデックス買いとインデックス売り
  • 2. 日経平均採用銘柄の株価の動き
    • 2.1. 2016年に楽天が日経平均に採用された時のケース
    • 2.2. 2013年に日東電工が日経平均に採用された時のケース
    • 2.3. 2015年にディー・エヌ・エーが日経平均に採用された時のケース
  • 3. 日経平均除外銘柄の株価の動き
    • 3.1. 2016年に日本曹達が日経平均から除外された時のケース
    • 3.2. 2016年に平和不動産が日経平均から除外された時のケース
  • 4.まとめ

1. 日経平均株価指数の銘柄入れ替えとは

日経平均株価は、日本を代表する株価指数の一つです。日本経済新聞社が、東証一部に上場している企業の中から選んだ225銘柄の株価から算出されます。

●日経平均株価(イメージ)

万が一、選ばれている銘柄に上場廃止や合併などが起きた場合は新たな銘柄を補充します。

例えば、東芝は、もともと日経平均株価の構成銘柄の一つでした。しかし2017年8月1日に東証一部から東証二部になったため除外されて、代わりにセイコーエプソンが採用されました。

このように日経平均株価指数は、225銘柄を維持するようにしています。

1.1. 多くの投資家が注目する日経平均株価指数の定期見直し

銘柄入れ替えには、上場廃止や合併以外の場合でも、ある銘柄が著しく流動性を欠く場合は除外し、その分の銘柄を補充するという「定期見直し」もあります。定期見直しは毎年9月から10月にかけて実施されます。

下表は、2010年以降の日経平均採用銘柄と除外銘柄を並べたものです。

   銘柄2010年除外日本航空、新日本石油、新日航ホールディングス、損害保険ジャパン、三菱レイヨン、クラリオン採用東海旅客鉄道、日新製鋼、JXホールディングス、NKSJホールディングス、日本電気硝子、東京建物2011年除外三洋電機、パナソニック電工、住友信託銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、CSK採用安川電機、大日本スクリーン製造、第一生命保険、あおぞら銀行、ソニーフィナンシャルホールディングス、アマダ2012年除外住友金属工業、日新製鋼、日本軽金属採用トクヤマ、日新製鋼ホールディングス、日本軽金属ホールディングス2013年除外東急不動産、三菱製紙採用日本電工、東急不動産ホールディングス2014年除外マルハニチロホールディングス採用マルハニチロ2015年除外平和不動産、日東紡績採用ディー・エヌ・エー、長谷工コーポレーション2016年除外横浜銀行、シャープ、ユニーグループ・ホールディングス、日本曹達採用コンコルディア・フィナンシャルグループ、ヤマハ発動機、ファミリーマート、楽天2017年除外ミツミ電機、東芝採用大塚ホールディングス、セイコーエプソン2018年除外古河機械金属採用サイバーエージェント

この「定期見直し」は、日本を代表する株価指数に関係するイベントなので、多くの投資家に注目されます。特に、投資信託を運用している機関投資家は絶対に注目しなければなりません。

なぜなら、例えば、日経平均に連動している投資信託などで、A銘柄が上場廃止になり、B銘柄が上場することになったとします。この場合、この投資信託を運用している機関投資家はA銘柄とB銘柄を入れ替えなければならないということになります。

そうしないと、投資信託の価格が日経平均の変化に連動しなくなるからです。そのため銘柄入れ替えの日には相場状況に関係なく、どうしても買わなければならない機関投資家による大量の買い注文が控えているのです。

1.2. 機関投資家と定期見直し

ここでいう機関投資家は、主に日経平均に連動している投資信託、つまりファンドのことです。下記に日経平均に連動している代表的な投資信託を一部記載します。

  • ニッセイ:日経225インデックスファンド
  • SMT:日経225インデックス・オープン
  • eMAXIS:日経225インデックス
  • 三菱UFJ:インデックス225オープン
  • 225インデックスファンド
  • インデックスファンド225

これらは、すべて日経平均の値動きに連動している投資信託(ファンド)です。

これらの機関投資家は日経平均の定期見直しが行われたら、自分たちのポートフォリオ(投資している銘柄)を見直さなくてはなりません。見直された銘柄を入れ替えないと日経平均に連動した運用ができなくなるからです。

1.3. インデックス買いとインデックス売り

このように買わざるを得ない人たちの買いを「インデックス買い」、売りを「インデックス売り」といいます。これらの売買は、銘柄入れ替えが行われる前日の大引けに実施されます。そして、銘柄入れ替えが実施される前日は採用される銘柄が買われる傾向があります。

採用と除外になった場合の影響をまとめます。

1.3.1. 採用銘柄の株価の動きの傾向

日経平均への採用が発表された銘柄は「インデックス買い」が行われる期待感から、発表直後は値上がりする傾向があります。その後は、銘柄入れ替えの前日にインデックス買いが入りますので、採用銘柄は、その前に仕込んでおくと良いでしょう。

1.3.2. 除外銘柄の株価の動きの傾向

日経平均からの除外が発表された銘柄は「インデックス売り」が行われる可能性があることから、発表直後は値下がりする傾向があります。その後は銘柄入れ替えの前日にインデックス売りが行われますので、注意しましょう。

2. 日経平均採用銘柄の株価の動き

日経平均の定期見直し発表から、銘柄入れ替えの実施日までは、下記のような流れになりますので、抑えておきましょう。

2.1. 2016年に楽天が日経平均に採用された時のケース

楽天は採用が発表された翌日に大幅高しました。その後は1,300円台前半まで下落しましたが、インデックス買いが近づくにつれて断続的に買われています。同社の場合はインデックス買いの日は下落しています。

2.2. 2013年に日東電工が日経平均に採用された時のケース

日付始値終値出来高備考2013年9月6日5,7405,6901,038,400日経平均の採用が発表される2013年9月9日6,3206,2405,289,400翌日はインデックス買いを期待した買いが入る2013年9月10日6,2106,3203,298,800 2013年9月11日6,3306,2502,286,700 2013年9月12日6,1506,0803,569,900 2013年9月13日5,9805,9405,011,100 2013年9月17日5,9606,0102,546,900 2013年9月18日6,0806,1802,657,200 2013年9月19日6,2506,3702,788,800 2013年9月20日6,3706,4002,478,200 2013年9月24日6,4106,5405,422,500 2013年9月25日6,5807,54022,962,600前日はインデックス買いが入り出来高が多い2013年9月26日6,7906,71011,378,700銘柄入れ替え日

日東電工が採用された時は翌日、大幅高しました。そして、インデックス買いの日にはストップ高(値幅制限の上限)まで買われています。

2.3. 2015年にディー・エヌ・エーが日経平均に採用された時のケース

日付始値終値出来高備考2015年9月4日2,1122,0112,301,000日経平均の採用が発表される2015年9月7日2,1112,1867,580,500翌日はインデックス買いを期待した買いが入る2015年9月8日2,1812,1234,343,500 2015年9月9日2,1922,2843,768,300 2015年9月10日2,2492,2933,234,500 2015年9月11日2,2802,3613,539,200 2015年9月14日2,3592,3562,339,900 2015年9月15日2,3502,3682,167,000 2015年9月16日2,3752,3042,862,500 2015年9月17日2,3312,3131,680,800 2015年9月18日2,3162,3051,447,000 2015年9月24日2,2602,2632,231,100 2015年9月25日2,2602,2711,874,400 2015年9月28日2,2842,2761,917,900 2015年9月29日2,2522,2382,881,900 2015年9月30日2,2882,21914,738,000前日はインデックス買いが入り出来高が多い2015年10月1日2,2172,1784,551,800銘柄入れ替え日

ディー・エヌ・エーが採用された時は翌日大幅高しました。その後、インデックス買いの日まで断続的に買いが入ったため、値下がりすることなく推移しています。

3つの事例をご紹介いたしましたが、3銘柄に共通することは日経平均に採用されたことが発表された翌日はインデックス買いを期待した買いが入り、大幅高しているということです。

もし、日経平均に採用される銘柄を事前に予測できるなら、日経平均への採用が発表される前に仕込む方法もとれますが、採用が発表された後には断続的で買いが入りますので、その流れにのっても良いと思います。

3. 日経平均除外銘柄の株価の動き

インデックス買いとは逆になるのが「インデックス売り」です。日経平均の組入銘柄から除外になった銘柄は、機関投資家がポートフィリオから外さないといけませんので、銘柄入れ替えにあわせて売却しなければなりません。

3.1. 2016年に日本曹達が日経平均から除外された時のケース

日付始値終値出来高備考2016年9月6日4954921,200,000日経平均の採用が発表される2016年9月7日43643715,888,000翌日はインデックス買いを期待した買いが入る2016年9月8日4394384,520,000 2016年9月9日4394383,662,000 2016年9月12日4344373,287,000 2016年9月13日4384331,995,000 2016年9月14日4334301,945,000 2016年9月15日4264232,102,000 2016年9月16日4244251,284,000 2016年9月20日4214221,337,000 2016年9月21日4224292,155,000 2016年9月23日4294291,808,000 2016年9月26日4294222,512,000 2016年9月27日4204262,407,000 2016年9月28日4214221,865,000 2016年9月29日4274246,529,000 2016年9月30日42243032,633,000前日はインデックス売りが入り出来高が多い2016年10月3日4364317,293,000銘柄入れ替え日

日本曹達が日経平均から除外された時は、翌日、インデックス売りが意識されて大幅安しました。その後、軟調な展開が続きましたがインデックス売りを境にして、多少戻しています。出来高はやはりインデックス売りの日が急増しています。

3.2. 2016年に平和不動産が日経平均から除外された時のケース

日付始値終値出来高備考2015年9月4日1,4571,421334,200日経平均の採用が発表される2015年9月7日1.2791,2242,095,600翌日はインデックス買いを期待した買いが入る2015年9月8日1,2541,222865,000 2015年9月9日1,2771,272733,000 2015年9月10日1,2391,266563,200 2015年9月11日1,2501,301947,800 2015年9月14日1,3001,282517,400 2015年9月15日1,2811,241999,800 2015年9月16日1,2461,214768,900 2015年9月17日1,2231,260812,700 2015年9月18日1,2601,269687,200 2015年9月24日1,2501,254711,100 2015年9月25日1,2461,294977,500 2015年9月28日1,2891,297635,100 2015年9月29日1,2751,2321,052,700 2015年9月30日1,2281,2786,111,100前日はインデックス買いが入り出来高が多い2015年10月1日1,3081,3501,963,400銘柄入れ替え日

平和不動産が日経平均から除外された時は、日本曹達と同じくインデックス売りが意識されて翌日は大幅安しました。その後、軟調な展開が続きましたがインデックス売りを境にして、多少戻しています。

日経平均から除外される銘柄は、除外が発表された後にインデックス売りが意識されて大幅安するケースがあります。事前に除外される銘柄を予測することができれば、空売りをすることで利益を狙うことができますが、除外の場合はインデックス売りが入る直前に逆に買い付けしてみると良いでしょう。インデックス売りに備えたポジション解消の売りがある程度出ていますので、その後の戻りに乗れる可能性があるからです。

4.まとめ

今回は日経平均の銘柄入れ替えについて、株価の値動きの傾向や株式投資にどのように役立てるかお伝えしました。

日経平均のイベントは非常にメジャーなので是非、参考になさって下さい。